たんぽぽのちえ

          「たんぽぽの ちえ」 

                               うえむら としお

 春に なると  たんぽぽの 黄色い きれいな

花が さきます。

 二、三日たつと、その 花は しぼんで、

だんだん くろっぽい色に かわって いきます。

 そうして、たんぽぽの 花のじくは、

ぐったりと じめんに たおれて しまいます。

 けれども、たんぽぽは、かれて しまったのでは

ありません。花と じくをしずかに 休ませて、たねに、たくさんのえいようを おくって いるのです。

こうして、たんぽぽは、たねを どんどん

太らせるのです。

  やがて、花は すっかり かれて、その

あとに、白い わた毛が できて きます。

 この わた毛の 一つ一つは、ひろがると、ちょうど らっかさんのように なります。たんぽぽは、この わた毛に ついて いる たねを、ふわふわと とばすのです。

 この ころに なると、それまで たおれて いた花のじくが、また おき上がります。そうして、

せのびを するように、ぐんぐん のびて いきます。

 なぜ、こんな ことを するのでしょう。それは、せいを 高く する ほうが、わた毛に 風が よくあたって、たねを とおくまで とばす ことができるからです。

 よく 晴れて 風の ある 日には、わた毛のらっかさんは、いっぱいに ひらいて、とおくまでとんで いきます。

でも、しめり気の 多い 日や、

雨ふりの 日には、わた毛の らっかさんは、

すぼんで しまいます。

それは、わた毛が しめって、おもく なると、

たねを とおくまで とばす ことが できないからです。

 このように、たんぽぽは、いろいろな ちえを はたらかせて います。

そうして あちらこちらに たねを ちらして、

あたらしい なかまを ふやして いくのです。

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  ぽれぽれ園の庭にも、道端にも、たんぽぽの花がたくさん咲いています。

  たしかに

 たんぽぽのわた毛は、花よりも高いですね。



周りに背の高い植物がない場所に咲いている たんぽぽの茎は短いです!地面に這いつくばるように咲いています。
一方、シロツメクサ や カラスノエンドウなどの近くで咲いている たんぽぽの茎は長いです!シロツメクサよりも、ほんの少し高い位置に花が咲いています。お日さまの光をたくさん浴びたくて、背伸びしているようです。

これまで、何気なくたんぽぽ を見ていましたが、
環境によって、咲き方がこんなにも違うのですね。

地面すれすれに咲くたんぽぽ 。
わた毛の茎は ぐーんと伸びて、風が吹くのを待っているようです。

すごいなぁ
たんぽぽのちえ